法人10期開始のご挨拶


仲夏の候、皆さまにおかれましてはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。

「私たちは悔しいんです。」

この言葉で集まり、始めた事業も本日2020年7月1日より法人としての10期目を迎えることとなりました。東日本大震災から丸9年、多くの皆さまのお力添えにより、今もこうして事業を継続できていることに心から感謝申し上げます。また、同時に皆さまのご期待に応えるという大きな責任も感じております。今後も更なる成果をご報告できるよう尽力して参ります。

津波によって命が失われることのないように、陸前高田市に避難の目印にする桜の並木を作る。同じ悲しみを繰り返さない社会をつくるため、9年間を走り続けてきました。その間に事務局員は7名となりました。植樹の許可を頂いた地権者さまは300名を超え、活動にご参加いただいた方は6,300名を超えています。植樹の許可をとり、地域の皆さまと全国の皆さまと共に植える。そしてその植えた桜をしっかりと桜並木になるように管理していく。基本は今も変わっていませんが、活動の輪は、大きな拡がりを見せています。それは私たちの努力だけではなく、共感してくださる皆さまのお力添えによるものだと思っています。

私たちは、陸前高田市内の津波到達点に17,000本の桜を植樹するという目標を掲げています。これまでに1705本の植樹が完了しています。本来であれば、もっと多くの植樹本数をご報告できる予定でしたが、今年3月に予定されていた春の植樹会は新型コロナウィルスの影響で延期をすることとなりました。今後については密集を避けるなど、植樹会の実施方法についても再検討し、事業を確実に前進させていきたいと考えています。

昨年度においては、私たちの指針となるビジョン、ミッション、バリューをスタッフと共に組み直しました。来年の3月11日で震災からまる10年。あの時の思いに変わりはなくとも、組織としての進化や事業の効率化と拡がりは常に必要なことだと思っています。更に先の未来を見越し、目標達成のために持続可能な組織を理事・事務局一同で考えていきたいと思います。

東日本大震災から時間が経過するごとに災害に対する風化が懸念されています。ただ一方で、私たちと同様に「災害による悲しみを繰り返さない」ために活動を始めた方が多くいらっしゃることも肌で感じています。それはまだ若木かもしれませんが、いずれ必ず大木に育つと信じています。

桜ライン311は実に多くの人の命が失われたことから生まれました。私たち意思だけではなく、陸前高田市、そして日本全国の皆さまの共感が、この事業を形作っています。それにこそ今までにない防災減災の形としての価値があると私は強く信じています。本年度もその桜が、皆さまの思いの象徴となるように一本一本大切に植え育てて参ります。本年度も引き続き、ご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

認定特定非営利活動法人 桜ライン311 代表理事 岡本 翔馬
役員・事務局一同

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