東日本大震災から9年を迎えました


 

「私たちは悔しいんです。」
この言葉が生まれるきっかけとなった東日本大震災から9年となりました。私たち桜ライン311の最初の植樹地である陸前高田市の浄土寺です。

2011年の夏、東日本大震災は未曾有でもなく想定外でもなく、1000年に一度程度の頻度でこの地域を襲う周期的な災害だという報道を見た時に、私たちの胸に込み上げてきたものは「悔しさ」でした。もし20m近い津波が襲う可能性があると分かっていたのなら、これだけの命が失われることはなかったはずだと。
平らな場所に街ができることは避けられなくても、次の時代の命だけは守りたい。そのために津波の最大到達地点に桜を植え、後世に伝えたい。こうして私たちの桜ライン311は2011年10月に始まりました。その総延長は170km。陸前高田市内の最大津波到達地点に10m間隔で桜の木を植え、17,000本の桜並木を後世に伝えることを目標にしました。2011年11月に植樹を開始、これまでに地域の住民の皆さまに加えて、日本全国の皆さまに共感とご尽力を頂いてきました。本当に心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。

あの日から9年、復興事業は概ね最後の段階となり、嵩上げ地への公共施設を中心とした開館や着工が続いています。昨年9月には高田松原復興祈念公園内に、東日本大震災津波伝承館「いわてTSUNAMI(つなみ)メモリアル」が開館しました。3月末には市民文化会館が完成予定となっており、来年3月末には市役所の本庁舎や博物館についても完成予定となっています。しかし一方で中心市街地の更地には雑草が目立ちます。昨年秋に陸前高田で未利用地は61%という報道が出ておりましたが、時間の経過と共に地域住民の感じる閉塞感は年々強くなっている気もします。国の定める復興事業ではなく、街に賑わいが戻ることが復興とするならばそれはまだ遠い先に感じてしまうのもまた事実です。
復興工事が進むなか震災の直接的な痕跡はほぼ姿を消しました。それは正しいことでもあり、見えなくなることで思い出すことも減り、感情に整理がつく方がいるのも事実です。しかし一方で「無かったこと」にはしてはいけないと私たちは強く思っています。そうしてしまったら、また命が失われることが繰り返されてしまいます。

昨年秋に理事会と事務局で団体としてのビジョン・ミッション・バリューの見直しを行いました。団体としての目指すべき方向や自分たちの価値や意義を改めて見直すためで、以下の通り決定することにしました。

■Vision (ビジョン):目指す未来
災害で生まれる悲しみを2度と繰り返さない未来を創る
■Mission (ミッション):使命
被災経験のない人の「他人事」(ひとごと)を「自分事」に変える
■Value (バリュー):提供する価値
・津波到達点に桜を植えることで減災を学ぶ場を提供する
・震災の教訓を全国に伝えることで減災を学ぶ場を提供する
・減災のまちづくりを通して人をつなぐ場を提供する
※減災:災害時において発生する被害を最小化するための取り組み
■Credo(クレド):私たちの信条・行動規範
・鎮魂の思いを忘れることなく、桜を育て、人を育てます
・共感してくれる全ての人のチカラを結集し、地域と共に歩みます
・支援に込められた思いに応え続けます
・成果を求め、挑戦し続けます
・誰もが参加できるオープンな組織であり続けます

私たちの原動力は「悔しさ」です。それが変わることはありません。でも今の私たちを支えているのはそれだけではありません。植樹の許可を頂き、共に植え育て、語り継いでいく地域の皆さまがいます。共感を頂き、寄附をし、植樹に参加し、共に歩もうとしてくれる全国の皆さまがいます。東日本大震災を無かったことにしてはいけない。それは私たちだけではなく、すべての人の願いなのだとも強く感じます。

桜ライン311はこの街の未来の命を救うために始まりました。今はそれに重ね、日本全国の災害で失われる命を少しでも減らしたいとも思っています。日本全国で災害は繰り返し発生し、南海トラフ地震をはじめとして大規模な災害が予想されています。東日本大震災の教訓を私たちだけのものにせず、より多くの方にお伝えすることで、災害による犠牲者を一人でも減らすことはできないか?その思いで日本全国の皆さまとの植樹会を続けています。今年の春については残念ながら新型コロナウィルスの影響で、植樹会はほぼ全てが中止または延期となってしまいましたが、これからも春と秋、継続的に植樹会を続けていきます。

震災から9年。震災は多くの方のなかに今も続いていて、その教訓を語り継ぐ重要性はますます高まっていると感じています。私たちはこの桜の下で笑うことはできないかもしれません。でも次の世代の人々にはその下で笑顔になってもらいたい。
桜の花が春に固い蕾を開くように、減災の意識が多くの人に根を張り、花を咲かせる日が来ることを信じて歩みを続けていきます。

東日本大震災で亡くなられた全ての方のご冥福をお祈りして。

認定特定非営利活動法人 桜ライン311
代表理事 岡本 翔馬
理事・スタッフ一同

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