東日本大震災から12年を迎えました。


本日、東日本大震災から12年となりました。
私たち桜ライン311の最初の植樹地である浄土寺の今日の景色です。

「私たちは悔しいんです。」
2011年3月、東日本大震災は未曾有でもなく想定外でもなく、おおよそ1,000年に一度の頻度でこの地域を襲う周期的な災害だという報道がありました。その報道を見た時に、私たちの胸に込み上げてきたものは「悔しさ」でした。もし18m近い津波がまちを襲う可能性があると分かっていたのなら、これだけの命が失われることはなかったのではないか。

次の東日本大震災は必ずやってきます。その時にこの地域に住む人々の命を守りたい。
そのために津波の最大到達地点に桜を植え、後世に避難の目標として伝え残していきたい。

こうして私たちの桜ライン311は2011年10月に始まりました。その総延長は170km。陸前高田市内の最大津波到達地点に10m間隔で桜の木を植え、17,000本の桜並木を後世に伝えることを目標にしました。同年11月に植樹を開始、地域の住民の皆さまに加えて、日本全国の皆さまの共感とご尽力を頂いてきました。昨日時点で植樹本数は陸前高田市内400箇所に2,064本、植樹事業への参加者は累計7,656名となりました。

あの日から12年、昨年の11月陸前高田市立博物館のオープンをもって復興事業は概ね完了を迎えました。復興事業は終わっても更地も多い街並みに、復興への道筋はまだまだ長いものだと感じさせられます。課題は多々あるけれど、生きているのだから前を向いていこうという1日でもあって欲しい。今年は13回忌でもあります。時間が経つ中で整理がつくこともあれば、つかないこともあります。今日という日が大切な人を失ったすべての方にとって、生きる希望を感じられるものでもあることを願います。

あの日感じた「悔しさ」。その思いはあの日からずっと変わりません。しかし、その思いを包み込むように、関わってくれる人たちからの思いがあります。東日本大震災を忘れてはいけない、無かったことにはしてはいけない。その願いを預かることは私たちの大きな力です。共に歩んでくださる地権者さまや地域の皆さま、足繁く植樹に参加してくださるボランティアの皆さま。そして日本全国の個人・法人の寄附者の皆さま。この事業を進めようと尽力してくださる皆さまが数多くいることは私たちの誇りであり、推進力です。

桜ライン311はこの街の未来の命を救うために始まりました。そして今は日本全国の災害で失われる命を少しでも減らしたいとも思っています。日本全国で自然災害は繰り返し発生し、南海トラフ地震をはじめとして大規模な災害も予想されています。東日本大震災の教訓を全国にお伝えすることで、犠牲者を一人でも減らすことはできないか?その思いで日本全国の皆さまとの植樹会を続けています。

これからも私たちの事業は連綿と続いていきます。伝承は一時的な取り組みでは成し得ないものです。東日本大震災は多くの皆さまの中で続いていて、その教訓を語り継ぐ重要性はますます高まっています。私たちはこの桜の下で笑うことはできないかもしれない。でも次の世代の人々にはその下で笑顔になってもらいたいと願っています。今年から浄土寺のライトアップも始まりましたが、前に進んでいく陸前高田の春を彩る地域の財産としても育てて参ります。

桜の花が春に固い蕾を開くように、減災の意識が多くの人に根を張り、花を咲かせる日が来ることを信じて歩みを続けてまいります。

東日本大震災で亡くなられた全ての方のご冥福をお祈りいたします。そしてこの日が今を生きる人々にとって生き方を見つめ、大切な人を思う日であることを願っています。

認定特定非営利活動法人 桜ライン311
代表理事 岡本 翔馬
理事・スタッフ一同

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